本館迷夢的西鶴男色大鑑 目次衆道辞典

男色大鑑 序

・序・

 『日本書紀』をお馬鹿な私が覗いてみると、天地(あめつち)が初めてできあがったとき、一つのものができた。その葦の若芽のようなものは、やがて神となり、国常立尊(くにとこたちのみこと)と申された。
この神から3代の間は男神しかおらず、世に男色の道を示すこととなる。
だが、天神4代目のころ、天地に漂う陰陽が勝手に交じり合い、男女の神々が出てこられた。

今ではなんとも呆れたことに、昔の下げ髪も、トレンディな投げ島田。
椿油の匂いをふんぷんとさせて当世流行の髪を結い、しなしな揺れる柳腰に、紅の腰巻なぞというファッションが現れて、男の眼を汚すようになった。

『書記』に照らしても分かるように、これらは美少年のいない国の間に合わせにすぎぬ。言わば、隠居したおやじの手慰みのようなもの。当然、血気盛んな頃には、言葉なぞかわすものではない。
およそ男色の道ほどありがたいものはなく、さっさとこの門に入るべし。

貞享4年丁卯正月のある日 鶴永(西鶴の初号)



<ひと言>
まずは「序」とまいりましょう。西鶴さんは勝手なことを申していますね。
ところで、3代までは男神のみで、4代のとき男女4組の神が顕れたことは、ちゃんと『日本書紀』に記述されてはいるけど、騙されてはなりませぬ。男神が男色だったなんてことは、ひと言も書かれちゃいませんてば。
さて、次回は男色女色の色の道ををもう少し検証することになります。
今度もまた、勝手なことを書いているんだ(笑)。



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